私を壊して そしてキスして

「翔梧さん、落っこちちゃう」

「ん? じゃあ」


その瞬間、彼が私を抱き寄せる。


「これなら落ちない」


クスクス笑う声が近い。
恥ずかしくなって彼の胸に顔をうずめると、ゆっくり繰り返されている呼吸に、癒される気がする。


「なぁ、菜那。お前、すぐに仕事探す気か?」

「――はい。そうしようと思ってます。
いつまでも翔梧さんに迷惑をかけられないし」


本当のところ、まだ不安だ。
吐き気の治まらない体と、ちょっとしたことで震える心。

だけど、そんな訳にはいかないだろう。


「俺が迷惑じゃなければいいのか?」

「えっ……」


少し手を緩めて、私の顔を覗き込んでいう。



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