私を壊して そしてキスして

月曜がやってきて、彼が会社へ出勤した。

部屋を出る前に私に渡してくれたのは、この部屋の鍵だった。


「好きに使え」

そう言って。

すごく嬉しかった。
本当にここにいてもいいんだ。
やっと、気を張り詰めた生活から解放される。

彼は、思わず泣きそうになった私の頭をグシャッと撫でて、笑顔を残して出て行った。



彼が出て行ってしまった部屋は、少し寂しくて。
けれど、南の窓から射しこむ太陽の光が、とても温かく感じる。


洗濯機をまわして、掃除機を引っ張り出して掃除を始める。


今頃、彼は……。

恵美さんに、何か言われているのではないだろうか。



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