私を壊して そしてキスして

溜息をついたとき、携帯が光っているのに気がついた。
メールだ……。


菜那、ちゃんと昼飯食えよ?


たったそれだけ。
たったそれだけの、翔梧さんからのメール。

あまりに素っ気ないそのメールは、私の涙を誘った。



私を心配してくれる人がいる――。

彼からメールがなければ、きっと私は食べなかった。
少しも食欲がなかったし、また吐いてしまうのが、怖かったりもした。


サラダだけ。

それだけしか食べられなかったけれど、それでも昼食をとったのは久しぶりだった。


いつも会社では、食べに行くふりをして、時間をつぶしていたから。




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