私を壊して そしてキスして
彼を家族に紹介して半年くらいから、愛希は「今日は靖司さん来ないの?」なんてよく聞いていた気もする。
だけどそれは、愛希が彼を気に入ってくれたんだと安心していたのに。
たった一人の妹に、結婚を祝福してほしかったから。
でも……。
私を抱きながら、愛希も……。
同じベッドで?
どうしよう。
嫌なことばかり考えてしまって、止まらない。
「菜那……」
「イヤッ……えっ?」
膝を抱えて、そこで小さくうずくまっていた私に、突然呼びかけられた言葉に、ひどく驚く。
「心配したぞ。電話に出ないから」
「翔梧さん……」
そこには、少し息を切らせて、ネクタイを緩めた彼の姿。