私を壊して そしてキスして

「どうして……仕事……」

「外回りの途中だ。飯、食ったか?」

「――はい」


こんなの食べたって言えないかもしれない。
それでも、努力したんだって、彼に伝えたい。


「そうか。頑張ったな。吐いた、のか?」


トイレの前の廊下にうずくまっているのを見て、彼は確信を持ってそう言う。


「ごめん、なさい……」

「いや、そんなことはいい。
菜那はとにかく物を口に入れることが大切だ。辛かったな」


彼もそのまま私の隣に座り込んで、肩を抱き寄せてくれる。


「辛かったな」そんな言葉が私の胸に真っ直ぐ届く。
彼は何時だって私を理解しようとしてくれる。

だからこそ、頑張ろうと思えるのだ。



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