野良猫にも希望はある?
「クスッ、君の考えてる事なんて、手に取るように判るよ。だって──右ほっぺに書いてあるもん」
??ミギホッペ?
僕は理解に一瞬遅れたが、直ぐに〝右の頬〟を指している事に理解すると──何も書いて無い、右の頬を右手で消す仕草をしてしまった。
「単純だね。君は」
真結美さんは微笑して〝君はもう野良猫には戻れないね〟とそう付け加えた。
(野良猫……か)
勿論、僕は猫ではない。真結美さんは、比喩のつもりで言ったのだろうか?まあ、猫みたいな生活は、否定しないけどね。自称野良猫だし。
真結美さんから3度の飯を与えられ、1日の大半を昼寝か散歩に費やしている──これを猫と言わず、何と言うだろうか?
猫のような人間、人間のような猫──そんな生活を、僕は3年間送っている。