野良猫にも希望はある?
ん?あれ……まてよ、真結美さんが僕の事を野良猫と比喩したのは、今回が初めてではなかったような……。
たしか、僕と同居する直前だったか──
〝君は実家で飼ってた野良猫とダブルんだよね!だからアタシの傍にいなっ!!〟
真結美さんは、真剣な眼差しで、僕に向かってそう言った。
3年前の記憶が、まるで数分前のように、僕はその光景を脳にイメージ出来ていた。
僕にダブった野良猫は、今も健在だろうか?──と、野良猫に親近感を抱いていたら、僕は違和感を感じた。
(飼ってた……)
真結美さんが口にした、3年前のセリフは過去形だった。
真結美さんの実家には、その野良猫は──たぶん居ない。