野良猫にも希望はある?
 
 ん?あれ……まてよ、真結美さんが僕の事を野良猫と比喩したのは、今回が初めてではなかったような……。

 たしか、僕と同居する直前だったか──


〝君は実家で飼ってた野良猫とダブルんだよね!だからアタシの傍にいなっ!!〟


 真結美さんは、真剣な眼差しで、僕に向かってそう言った。

 3年前の記憶が、まるで数分前のように、僕はその光景を脳にイメージ出来ていた。


 僕にダブった野良猫は、今も健在だろうか?──と、野良猫に親近感を抱いていたら、僕は違和感を感じた。

(飼ってた……)

 真結美さんが口にした、3年前のセリフは過去形だった。

 真結美さんの実家には、その野良猫は──たぶん居ない。
 
< 18 / 28 >

この作品をシェア

pagetop