野良猫にも希望はある?
 
 僕が意味も無く、猫をじっと見つめていると──、

(そんなに見つめられると照れるぞい)

 何処からか、老婆の声が僕に話しかけてきた。

「…………?」

 僕はキョロキョロと、辺りを見渡すが、由奈ちゃんと猫以外誰もいない。

(何をしておる?お主の心に語っているのは、目の前にいる儂に決まっておろうが)

 え?目の前………ええええええええっ―――っ!!!?

 僕はコサックダンス如く、座ったままの状態で後退りした。
「しゅっ、諄さん?!」

 僕の奇抜な行動に、由奈ちゃんはびっくりして、目を丸くした。
 
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