野良猫にも希望はある?
「これは夢だっ!!!」
僕は頭を抱えながら立ち上がると、大きな声でそう叫んだ。
僕はまだ布団の中で熟睡していて、夢の世界をさ迷っているんだ。絶対そうに決まっている。
全ての謎は、科学が証明してくれる平成の世に、喋る猫がいてたまるかっ!!
(現実逃避しても無駄じゃぞ。儂は夢でもなければ、幻でもない、現実そのものじゃ。かっかっかっかっ)
「う………」
僕は一瞬にして、現実に引き戻された。黒き猫《コゲチャ》は大口を開けて笑っている。
そして、由奈ちゃんは口を半開きにして、呆然としていた。