野良猫にも希望はある?
 
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 真結美さんは、奇声を発しながら、躊躇なく日本刀の刃を振り降ろした。

「────!!」

 終わった──と、僕は瞼を閉じてそう思った……でも〝この人に殺されるなら別にいいかな〟と思う別の自分も、僕の心の中にいた。

 でも、僕は生き延びた。

 真結美さんが振り降ろした刃は、僕より30センチ右側の畳を斬撃していた。

 僕は、恐る恐る瞼を明けて、右側の畳を凝視すると、恐怖感からか、身体中の震えが止まらなくなった。

 畳に日本刀が突き刺さっていた。まるで、何かの墓標のように。

 日本刀の鋭さを物語ってるかの様に、畳は数十センチに渡って、斬られていた。

 恐るべし、居合い道有段者。
 
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