野良猫にも希望はある?
 
 真結美さんは、畳に刺さっていた日本刀を無造作に引き抜くと、また上段に構えた。

「トドメだあぁぁぁぁぁっ!」

 真結美さんは上段の構えから、また日本刀を振り降ろした。

 ええっ?とどめ?真結美さんは、一体何を──?!

 真結美さんは〝死ね、死ね、死ね〟と連呼しながら、日本刀の刃を繰り返し、畳を斬りつけていた。

 ん?あれは……。

 僕は真結美さんの乱心を呆然と見続ける中、畳にある《物体の死骸》がある事に気づいた。

 あの足、あの触角……まさか……。

 その、まさかだった。

 死骸の正体は、まさかのゴキブリ?……だった。
 
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