君がくれたもの
私をお手洗いの前まで連れて行くと、
「ここで、待ってますから、行って来て下さい」
と言って、私の背中をそっと押す。
「い、いいよ。待ってなくても、大丈夫だから…」
芹沢くんは、少し笑うと
「誰かに連れてかれそうだから」
「そんなことっ」
心外だ…
「いいから、早く行って来て下さい」
私は、仕方なく、トイレに向かう。
洗面台の鏡を見ると、顔は赤いし、目は潤んでいる。
そんな、飲んだつもり無いのになぁ。