君がくれたもの
芹沢くんは、口を閉じると、困ったような顔をして私を見ていた。
「久我さんに、持って帰られそうでした。」
「なっ!そんなこと、ないよ!…久我さんは、そんな人じゃ…」
でも、さっき一瞬私の肩をキツく掴んだ久我さんの手の熱さと視線に、戸惑いを感じたのは事実で…
私は、ふるふると頭を振った。
「でも、私 結婚してるし…」
「人を好きになったら、そんなの関係ない。気持ちは、変えられない」
そうハッキリと言った芹沢くんの顔を見ると、私を見つめている、真剣な眼差しで。
彼の瞳の中に、甘く揺らめく光を感じた私は、急に怖くなり、
「も…もう、戻ろう…」
と、立ち上がろうとした。