君がくれたもの
「来週から、東京に出張なんだ。」
「どのくらい?」
「1週間くらいかな?」
和希は製薬会社に勤めている。
「わかった。大変だね。」
仕事柄全国を飛び回ることが多い。
「そろそろ出るよ。芽衣は今日、仕事だったかな?」
「うん、そう。」
私は、近くの本屋で週5日バイトをしている。
「行ってらっしゃい。」
和希を玄関まで見送る。
和希は、その瞳をふうっと甘くすると私を見つめ
私の頭をくしゃっと撫ぜる。
「今日は、早く帰れると思う。…今夜は芽衣を寝かせたくないな。」
「…なっ。何言ってるの!早く行かないと…」
急に唇がふさがれる。
「もう!和希。」
私は、顔が真っ赤なはずだ。
「ふふ。芽衣があんまり可愛いくてさ。じゃあ、行って来ます。」
私に、からかいの眼差しを向けて、軽く手を上げて出て行った。
ふう。和希のバカ…
私は火照った頬に手を当てた。
和希は、時々ああして私をからかう。
今だに、和希の色っぽい眼つきにドキドキさせられる。