君がくれたもの
「芽衣さん。」
バイト先のさくら書房で、本の在庫整理をしていると、店長の林さんが私を、呼んだ。
「はい。」
林さんの隣りには、長身の男の子が立っていた。
「今日からバイトしてくれることになった、芹沢亮くんだ。
芽衣さん、悪いけど、芹沢くんの面倒見てくれるかな。」
「あっ、はい。」
私は、慌てて彼に向き合うと、ニコッと微笑んだ。
「黒田芽衣です。よろしくね。」
「はい。よろしくお願いします。」
芹沢くんは、よく見ると瞳の色が薄茶色で濡れたように輝いている。
目鼻立ちも整っていて、イケメンの部類に入るであろう甘いマスクをしている。
髪の毛も、瞳と同じ薄い茶色でサラサラした前髪を無造作に散らしている。
芹沢くん、モテるんだろうなぁ。
私は、そんなことを考えながら芹沢くんを見つめていた。
「…芽衣さん…?」
私は、ハッと目を芹沢くんから離すと
「ごめんなさい。ぼうっとして。
ええと、とりあえず今はここにある雑誌の在庫を、このリストと照らし合わせてくれる?」
「はい、わかりました。」
と、微笑んで私を見た。
「お願いね。私は、こっちの方をみるから。」