君がくれたもの
痛む心
さくら書房に出勤して、店内に行くと、芹沢くんについ眼がいってしまう。
「…あっ…」
芹沢くんの側で、この間の彼女が笑いながら何かを話し掛けていた。
チクッ…細い針で心臓を刺したような痛みが胸に広がる…
その気持ちの正体がわからなくて戸惑う。
どうしたんだろう…私…
すると、彼女が私に気付き頭を下げる。
「こんにちは。この間はどうも」
彼女は手に参考書を持っている。
「参考書探すのを亮くんに手伝ってもらってたんです」
彼女は芹沢くんを見上げながら笑う。
「…口実ですけどね」
「おい、よせよ!」
芹沢くんが、彼女の背中を押しやり
「参考書見つかったなら、早く買って帰れよ」
と言って、不満そうな顔を隠しもせず顔を少し赤らめて、彼女に向かって叱るように言う。
芹沢くん、彼女の前だとそんな顔もするんだ…
チク…また胸が痛んだ