君がくれたもの
帰り支度をして、ブレイク室を出ようとすると、久我さんに呼び止められた。
「これから、ちょっといいかな?」
「えっ?」
「話したいことがあって。近くの喫茶店でお茶でも飲みながらどおかな?」
何の話かな…?
「はい。いいですよ」
「よかった。もう少し用事あるから、出口で待っててもらってもいい?」
「ああ、はい。わかりました」
「じや、後で」
と言って久我さんは微笑んでブレイク室を出て行った。
後から私も出ると、部屋に入ろうとしていた芹沢くんとぶつかりそうになる。
「キャッ、びっくりした。芹沢くんも上がり?」
彼は、私の問いかけには答えず、何も言わずに急に私の手首を掴むと 物凄い強さで引っ張って歩き出した。
「えっ!…あ、なに!」
私は、その勢いに焦って足がつんのめりそうになりながら、芹沢くんについて行くのに精一杯。
外に出て、芹沢くんは黙ったまま、前を見てズンズン早足で歩く。
私は何も言えず、そんな彼を呆然と見ていた。
掴まれた手首が熱い…