君がくれたもの
思いがけず、一緒に帰ることになった。
私は、自転車で来ているため、先に行くことも出来ずに自転車を押して歩く。
「芽衣さん、僕が押しますよ。」
「えっ、大丈夫だよ。」
「じゃあ、後ろに乗って下さい。」
「ええっ…!」
芹沢くんは、私から自転車を奪うと、一瞬瞳をイタズラっぽく煌めかせ
自転車にまたがって私を見る。
意外と、人懐こいんだ…
私は、唖然としながら芹沢くんを見つめる。
「早く乗って下さい。」
「ああ、はい。」
後ろの荷台に腰を掛けると、よいしょと芹沢くんがペダルを踏む。
風が冷たい。
芹沢くんから、シトラス系の香りがふわっとかおる。
何故か私は、その香りにドキッとしてしまう。
和希と同じ匂いがする…