バイナリー・ハート
2.反撃
結局ランシュは服の他には何も買わず、結衣と一緒に夕食の買い物を手伝って家に帰った。
買ってきた物を冷蔵庫に入れていて、味噌が残りわずかになっている事に気付いた。
クランベールに味噌はない。
結衣は一通り荷物を片付けた後、欲しい物リストと共に、実家へ手紙を書いた。
リビングの隅に置いてある、物品専用の時空移動装置に手紙を入れて実家へ転送する。
時空移動装置ミニは、人捜しマシンをそのまま小さくしたような形をしている。
底辺の直径は五十センチくらい、高さは一メートルくらいで、天辺は丸いドーム状になったガラスの筒だ。
頭頂部には転送確認の赤いランプもついている。
大きさ的には人間の子供くらいは入れそうだが、人は転送できない。
機械が苦手な結衣でも簡単に操作できるように、機能はかなり限定されている。
ボタンひとつで転送できるように、転送できる物も決まっているのだ。
一時間後、母からの返事が届いた。
今夜八時に味噌が届く。