バイナリー・ハート
いつもは落ち着き払っているランシュの、こういう素の表情はロイドにとっては、やけに珍しかった。
「こんなラブラブ夫婦と一緒に住んでて、胸焼けしねぇ?」
ソータの問いかけに、ランシュは不思議そうに、少し首を傾げる。
「ラブラブ? 確かに仲良しだけど、普通だと思うよ」
「普通じゃねーだろ。目の前で平気でキスしようとするし」
「キスって、挨拶の、でしょ?」
キョトンとするランシュに、ソータは絶句して大きくため息をついた。
「クランベールって、こういうとこ、オウベイ(欧米)かって思うよな」
ランシュはまだ不思議そうな顔で、ソータに尋ねた。
「ソータはユイにキスしないの?」