バイナリー・ハート


 人前ではキスをしないという、同じ習慣を持つソータの前でキスをするのは、ユイにとって恥ずかしい事なのだろう。

 少しの間四人で雑談をした後、ユイは明日の準備のために席を立った。
 ユイとランシュは、すでに風呂を済ませたという。ソータに勧めたら、明日も仕事があるロイドが先に入るようにと、譲ってくれた。

 ロイドが風呂から出ると、ソータとランシュはまた二人で話し込んでいた。
 どうやら二人は気が合うようだ。

 ユイはすでに寝室に引き上げたらしい。ソータが風呂に向かい、ロイドもランシュもそれぞれ部屋に引き上げる。
 ソータは滞在中、ユイの部屋に寝泊まりする事になった。

 ロイドが寝室に入ると、ユイはいつものように背中を向けて、ベッドに入っていた。

 まだ眠ってはいないだろうと思いつつも、そっと隣に潜り込む。
 すると案の定、ユイはこちらを向いた。ロイドは微笑んでユイを抱き寄せる。

 ほんの数日、忙しくて顔を合わせる時間がほとんどなかっただけなのに、こんな風にユイを抱きしめるのは久しぶりの気がする。
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