バイナリー・ハート


「そいつの調整が終わったら見せてやるよ」


 そう言った後、蒼太は名案を思い付いたように目を輝かせた。


「そうだ。ランシュにクランベール仕様に改造してもらえばいいんだ」


 安易な発想に、結衣は眉をひそめる。


「そんな事したらメーカーの修理保証が受けられなくなるんじゃないの?」
「ACアダプタだけで事足りるから大丈夫だよ」
「まぁ、あんたがいいんなら、いいけど」


 結衣がため息をつくと、再び横からランシュが口を挟んだ。


「エーシーアダプタって何?」


 アルファベットの略語はランシュにはわからない。
 どんなものなのか説明すれば、多分分かるのだろうが、結衣には電源プラグとしか答えられない。
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