バイナリー・ハート


 あまりゆっくり話している時間はない。
 今朝はソータをニッポンに連れて帰らなければならないのだ。

 科学技術局の一般見学時間が来る前に、転送を終了しないと、ある意味見せ物になってしまう。
 それはソータもイヤだろう。


「すぐに終わる話か?」
「うーん……」


 ロイドが尋ねると、ユイは困ったように言葉を濁す。


「悪いが、込み入った話なら今夜じゃダメか? おまえ明日は休みだろう? なるべく早く帰るから」


 ユイは途端に首を振った。


「ううん。別に急いで話さなきゃならない事でもないから。忙しいなら無理しないで」

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