バイナリー・ハート
言ってる事が矛盾している。
すぐにでも話したいから、わざわざ起こしに来たのではないだろうか。
ロイドはユイを抱き寄せ、頭を撫でた。
「オレに遠慮するな」
「遠慮じゃなくて、迷惑になりたくないの。
だって私、あなたが忙しくても、悩んでいても、何も力になれないから」
切なげに目を伏せて俯いたユイのこめかみに、ロイドは軽く口づける。
「そんな事はない。
おまえほどオレの力になってる奴はいないぞ。
オレは何度となくおまえに救われたんだ」
「何も出来なくても?」
「おまえが笑顔でオレの側にいてくれたら、それだけで充分力になる」
「いるだけでいいなんて、そんなのイヤ」
ユイはプクッと頬を膨らませて顔を背けた。