バイナリー・ハート
ロイドはその頬に手を添えて、背けた顔をこちらに向かせる。
「そうだな。もっとわがまま言って甘えてくれたら、更に嬉しいけどな」
「え? わがままが嬉しいの?」
「おまえ、昔からオレに迷惑かけないようにって気を遣いすぎた。もっと貪欲にオレを欲しがれ」
「……え……」
ユイは苦笑に顔を引きつらせた。
「なんか、あなたが言うとエロく聞こえるんだけど……」
ロイドはニヤリと笑い、ユイを抱きしめる。
「もちろん、そっちの要求も大歓迎だ。やっぱり今夜は早く帰るぞ」
「うん、嬉しい。でも本当に無理しないでね」
「言った端から遠慮するな」
ロイドが額を叩くと、ユイは舌を出してクスリと笑った。
「ごめん。じゃあ、わがまま言うわ。早く帰ってきてね」
「あぁ」
ユイのわがままに目を細め、ロイドは静かに口づけた。