バイナリー・ハート
俯いて小鳥を撫でる手の甲に、ポタリと一滴落ちた時、横からランシュにフワリと抱きしめられた。
思わず横を向くと、目の前で切なげに見つめるランシュの瞳と、視線がぶつかった。
「ユイが泣いているの耐えられない。オレ、ユイが好きだから」
「え?」
思いも寄らないランシュの言葉に、涙も、こみ上げていた感情も、一気に停止する。
好きってどういう意味?
ただそれだけの事が聞き返せず、結衣は固まったまま、ランシュを見つめる事しかできなかった。