バイナリー・ハート


「泣かされてもいいなんて、そんなの分からないよ」


 そして結衣の上に覆い被さってきた。


「オレを見てよ、ユイ」
「ダメ! ランシュ、やめて!」


 近付いて来るランシュの顔から、思い切り顔を背け、結衣がギュッと目を閉じた時、ランシュが手を離して声を上げた。


「いたっ!」


 結衣が目を開き身体を起こすと、目の前でランシュが頭を抱えるようにしてうずくまっていた。
 その後頭部で小鳥が羽ばたきながら、ランシュをつついている。


「やめて、ロイド! ランシュを傷つけないで!」

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