バイナリー・ハート
結衣の命令に、小鳥はピッと返事をして攻撃を止めると、机の上に舞い降りた。
「大丈夫? ランシュ」
「うん……」
ランシュは小鳥がつついた頭を少し撫でて、その手を眺めた。
指先にポツンと赤いものが付着している。
「血が出てるの? ごめんね。手当てしなきゃ」
結衣が慌ててランシュの頭に手を伸ばすと、ランシュは身を退いて力なく笑った。
「平気だよ、このくらい。自業自得だし。オレの方こそ、ごめんね。最初からユイがオレに振り向く事はないって、わかってたのに。オレがユイを泣かせるところだった。本当にごめん。全部忘れて」
そう言ってランシュは席を立った。