バイナリー・ハート
ロイドは思わず、ランシュの両肩を強く掴んだ。
「それは違法だって、分かってるだろう!」
「乱暴しないでください」
ランシュはロイドの腕を掴んで肩から外し、ゆっくりと捻り上げた。
「ツッ!」
あまりの力に、ロイドが声を漏らすと、ランシュは腕を掴んだ手を離した。
そして片手で、ロイドの首を素早く掴む。
「オレにはダメージセンサが搭載されているんです。あなたと同じように、強く掴まれれば痛いし、お湯をかぶれば熱いんですよ。傷つけば血も出ます。だって、ケガしても痛くも痒くもないし血も出ない、なんて人間はいませんよね」
首を掴んだランシュの手が、じわじわと締め付けてくる。
両手でその手を外そうとするが、以前のランシュからは考えられないほどの力でビクともしない。