バイナリー・ハート


 ロイドが冷たく言い放つと、ランシュは少し悲しそうに笑った。


「命は肉体に宿るものだと、あなたは考えているんですね。でもオレは、心に宿るものだと思っています」


 そう言ってランシュは、胸の上で両手を重ね、目を伏せた。


「オレの心はここにあるって、ユイが教えてくれました。だからオレの命もここにあります。オレは身体を乗り継いで、生き続けているんです」


 幸せそうに微笑むランシュを見ながら、ロイドは最後に耳にした彼の言葉を思い出す。



—— 先生……オレ、死にたくない……死ぬのが怖いよ…… ——



 その思いが、このロボットを作り上げた。

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