バイナリー・ハート
2.機能
大した火傷じゃなかったからローザンは呼ばないと言い残して、ロイドは仕事に向かった。
おそらくランシュの腕は、実際に損傷してはいないのだろう。
ロイドはランシュがロボットである事を確認したのだ。
二人でいったい、どんな話をしたのか、結衣には分からない。
けれど二人の関係が、あまりいい方向に進んだわけではない事は、なんとなく分かった。
服を着替えてリビングに戻ってきたランシュが、少し塞いでいるからだ。
「ランシュ、火傷は本当に大丈夫なの?」
ソファに座ってぼんやりするランシュの隣に腰掛けて、結衣は尋ねる。
ランシュはこちらを向いて、クスリと笑った。
「相変わらず心配性だね、ユイは。全然平気だよ。二百度くらいは耐えられるから、この皮膚」
「だって、すごく熱そうだったし」