バイナリー・ハート
「まぁ、オレの記憶を元にするので、多少似たところはあるかと思いますが……。そのプログラムを使うか、単純に機能停止にするかは、あなたの判断に委ねる事にします」
ランシュの記憶が表に出て来ないのなら、記憶がコピーされている事を他人に知られる事はない。
絶対命令も共に焼き付ければ、このロボットは表面上、違法ではなくなる。
ロイドはメモリカードを握りしめて頷いた。
心は決まった。
だが今一度、ランシュの意思を確認したかった。
「分かった。だが判断するのはオレじゃない」
「え?」
不安と困惑が入り交じった目で見つめるランシュに、ロイドは二つの選択肢を提示する。
「おまえの進むべき道は二つある。おまえ自身が判断して選べ」