バイナリー・ハート
7.決着
身支度を整えて、ランシュと共に階下へ降りる。
ダイニングへの扉を開くと、ユイがわざとらしいほどの笑顔で挨拶をした。
ユイには科学技術局へ戻る事を告げたと、ランシュが言っていた。
この表情は、何かを察しているのかも知れない。
ロイドは素知らぬフリをして、挨拶を返し食卓に着く。
ランシュも席に着くと、ユイが作った朝食を囲んで、いつも通りの食事風景が展開された。
だがいつもはユイとランシュが他愛もない雑談をしているのに、今日は誰ひとりとして言葉を発する者がいない。
重苦しい空気の中、それぞれが黙々と食事をする。
皆が食事を終えるのを見計らって、ロイドは席を立った。
ランシュも続いて席を立つ。
いつもはユイと一緒に後片付けを手伝う彼も、リビングに向かうロイドの後に黙ってついて来た。
いつもと違うランシュの行動に、ユイは何も言わず、食卓の上の食器をまとめてトレーに乗せると、キッチンへ姿を消した。
それを見届けてロイドは、リビングの壁際に置かれた電話の前に立つ。