バイナリー・ハート


 科学技術局の事情を、部外者のユイに知られるのはマズイ。
 ロイドがあくまで、とぼけていると、思いも寄らない事をユイは口にした。


「私、知ってるの。ランシュがロボットだって事」


 思わず横にいたランシュを睨む。
 ランシュが口を開きかけた時、それを遮るようにユイは言葉を続けた。


「ランシュから聞いたんじゃないわ。私が自分で気付いたの。ランシュは否定しなかっただけよ」


 ユイは色恋沙汰には激ニブだが、他の事には驚くほど鋭い。

 小鳥がランシュを攻撃した事で、気付いたのかも知れない。

 ——という事は、昨日の朝、小鳥の調子がおかしいと言ったのは、ランシュから聞いたと思わせないように、ロイドに気付かせようとしたのだろう。

 まんまと誘導されたという事か。

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