バイナリー・ハート


「おばあちゃんもランシュのためなら許してくれるわよ。でもどうして二年間も科学技術局に連絡しなかったのかって言われなかった?」

「言われた。だが、あいつは免職になってるからな。戻ったら監禁されるだけだから、それがイヤで連絡しなかった事にした」


 ユイは途端に表情を曇らせる。


「やっぱり、局に戻っちゃうの?」
「いや、ここから通うことになる」


 ランシュはもう分別のない子供ではないし、いつ命が尽きるか分からない実験体でもない。

 それを局内に閉じ込めるのは、人道上問題がある。
 そこを諭して、しばらくはロイドの監視下に置き、問題がなければ復職させる事になった。


「局としても、あいつの頭脳が民間にさらわれるのは痛いからな。満場一致で承認されたぞ」

< 258 / 263 >

この作品をシェア

pagetop