バイナリー・ハート


 てっきりいつものように真っ赤になってうろたえると思ったら、ユイはペロリと舌を出した。


「残念でした。しばらくお預けよ」
「なぜだ?」


 首を傾げるロイドに、はにかんだような表情でユイは告げた。


「おなかに赤ちゃんがいるの」


 ロイドは思わず眉をひそめる。
 ユイは以前、食べ過ぎの胸焼けを妊娠と勘違いして、ロイドをぬか喜びさせた事があるのだ。


「今度は本当なのか?」

「うん。ずっと生理が止まってて気になってたんだけど、ランシュやソータが来てごたごたしてたから、今日やっと病院に行って調べてもらったの」

「そうか」

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