バイナリー・ハート
 そしてその方法は、今朝結衣が、バカバカしいと首を振った結論に、どうやら間違いなさそうだ。

 こうして身体を密着させて抱きしめられているのに、ロイドの時には感じるものをランシュの時には感じない。

 多分それは違法だから、ランシュは身を隠さなくてはならなくて、それでロイドは結衣に何も言えないのだろう。

 結衣は少し微笑んで、ランシュの胸に手を当てる。


「ランシュの心は、ここにあるでしょ? 夢を見るのは科学者の本能かもしれないけど、私を夢の住人にしないでよ」

「うん。そうだね。ありがとう、ユイ」


 そう言ってランシュは、安心したようにクスリと笑った。

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