バイナリー・ハート

7.実行


 珍しくユイが朝寝坊をしている。
 少し前に目を覚ましたロイドは、傍らに横たわるその穏やかな寝顔に目を細めた。

 結婚してから、ロイドが目を覚ました時、隣にユイがいた事は数えるほどしかない。
 今頃の時間はいつも、階下で朝食の支度をしているのだ。

 ロイドはユイの髪をそっと撫でた。


(ゆうべは、ちょっと無理をさせすぎたな)


 いつもならユイは、とっくに眠っているはずの時間だった。

 元々ユイの言葉が引き金になったとはいえ、際限なしに求めてしまったのだ。
 気絶したわけではないが、気が付くとユイは力尽きたように、ロイドの腕の中で眠っていた。

 そしてロイドも、そのままユイを抱いて眠りについた。

 しばらく髪を撫でていると、ユイが目を開いてこちらを向いた。


「おはよう」


 ロイドが挨拶をすると、ユイは返事をした後、慌てて身体を起こした。

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