バイナリー・ハート


 ランシュはやっと、遠慮がちに頷いた。


「わかった。しっかり働くよ。力仕事とか、何でも言って」


 ランシュに笑顔を返し、結衣は肩の小鳥を手の平に乗せて見つめた。


「ロイド。出かけてくるから少し留守番しててね」


 小鳥がピッと返事をするのを待って、電源を切る。

 ランシュが不思議そうに問いかけた。


「その小鳥、先生の名前つけたの?」


 結衣は苦笑して答える。


「うん。背中に登録用のボタンがあるんだけど、うっかりしてて、ロイドの名前を呼びながら、背中を触っちゃったのよ」

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