バイナリー・ハート


 名前の登録は、一回しか出来ないので、訂正出来ないのだ。

 テーブルの上に小鳥を置いて二階へ上がり、急いで支度をすると、結衣はランシュと一緒にラフルールの商店街に向かった。

 男の子の服を一緒に買いに行くのは初めてだ。
 ロイドは滅多に服を買わない上に、いつの間にか自分で買って来ている。

 いつも白衣を羽織っているせいか、普段の服装にはあまり頓着しないらしい。
 それでも格好良く見えるのは、惚れた欲目だろうか。

 男性用のショップを巡るのも初めてなので、結衣はちょっとワクワクしていた。

 ランシュと一緒に二、三の店を回り、彼の服を一通り買いそろえる。

 若くてスマートでかわいい容姿をしているので、流行りのおしゃれな服を選ぶのかと思ったら、ランシュの好みもロイドと同じで、流行り廃りのないシンプルな物だった。

 学者たちは、おしゃれにあまり興味がないのだろうか。

 買い物を終えると、正午を少し過ぎていた。
 今日は外で昼食を摂る事にする。

 ランシュが穴場の店を知っているというので、二人で商店街の表通りを外れて裏路地へ入った。
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