バイナリー・ハート


 好奇心丸出しで詰め寄る結衣に、ランシュはたじろぎながら背筋を伸ばして身を退く。


「好きな人?」
「あ……うん」
「ラフルールにいるの?」
「うん」
「どんな人? かわいい?」
「かわいいよ。年上だけど……」


 たたみかけるように質問すると、ランシュはポツポツと白状した。

 告白よりも先にキスをするエロ学者や、大きな胸は男のロマンだとか言う弟や、結衣の周りはエロい男ばかりだ。

 はにかんだようなランシュの初々しさが新鮮で、微笑ましくて、自然にテンションが上がる。


「告白したの?」
「いや、それは……」
「間違っても、告白より先にキスしちゃダメよ」
「へ?」


 真剣な顔で諭す結衣に、ランシュは目を丸くする。
 こういう反応もかわいい。
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