【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ壱




「ま、いいか。じゃあ、放課後ね」



 萌は血と髪で汚れたハサミを持って教室へ戻っていった。



 鍵を閉められて、空気がこもった体育館の倉庫。




 酸欠で死なないように窓が開いているが、かなり高い。




 だが、花蓮は狼に育てられた子供。



 運動能力はずば抜けていた。




「行ける!」




 花蓮は、ジャンプして窓に飛び乗った。



 窓の隙間は小さいが、食が細くて、小柄な花蓮は難なくそこを潜り抜けた。




「脱出成功」



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