【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ壱
花蓮は野育ちで、小学校に入るまでは人間のことをまったく知らなかった。
たとえば、学校とは何かを知らなかったし、人間の姿を見たときは怯えた。
花蓮を育てた狼の種族は変わっていて、人に化けることができるし、人語も理解する。
だから、父や弟が人に化けたのを見て、ようやっと落ち着いた。
何年も、人として暮らし始めた今では、
「汚れ」や「死」も理解している。
中学の頃、顔の証のことで苛められたときに、自殺の方法はいろいろ調べた。
その中で、花蓮が選んだのは、飛び降り自殺。