【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ壱



 そのとき、花蓮が立っている廊下の下――つまり、一階の奥から奏太が出てきた。



「か、奏太さんが三人!!?」



 これは、幻覚だろうか。



 花蓮は、廊下に座り込んだ。



 自分を助けてくれた奏太という男がなぜか三人もいる。



 花蓮は、目を閉じて、もう一度開けた。




 きっと一人になっていると信じて。だが、やはり三人。



「夢だ、夢だ夢だ」




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