大地主と大魔女の娘
姉に命じられた通りに、カルヴィナを客間へと落ち着けた。
「カルヴィナ、レオナルにはもう一発お見舞いしておきましょうか?」
「め、滅相もございません!」
尋ねるよりも早く拳を構えて見せた姉に、カルヴィナが首を横に振った。
いきり立つ姉をリディとカルヴィナが取り成し、俺もどうにか腰を落ち着ける事が許された。
ただし、カルヴィナからは遥かに離された、隅にいるようにと命じられたが。
大人しく従う。
「出て行っちゃ、嫌よ」
「……はい」
「すごく心配したんだから」
「申しわけありませんでした」
「カルヴィナは行動力があるのね。叔父様も驚いたと思うわ!」
「リディアンナ様」
「でも二度としないでね。危ないから」
「申しわけありません」
「約束よ」
かしましく、しきりに二人からどれだけ皆が心配したかと延々と告げられ、カルヴィナはただただ恐縮しきっている。