大地主と大魔女の娘
ミルアを含めた四人の女の子が、私にも欲しいと騒ぎ出す。
勢いに押されながら、慌てて頷いた。
「もちろん、みんなの分だけ用意するから、落ち着いて」
「ね、ね! 他には何があるの?」
「えっと、お肌が綺麗に滑らかになるように、薬草の雫を使います。仕上げはまた、香油で。髪用とは違うの」
「他には!?」
「シュリばっかり、ずるいんだから! 抜け駆け無しよ! ワタシにも教えてよ、エイメ」
ミルアが私と皆の間に割って入る。
「あ~! もう、順番に! エイメが困るでしょう!」
「ミルアこそ、ずっるいんだ!」
「どこがよ。言ってみなさいよ」
「エイメに付きっ切りで腕輪の作り方習ってるじゃない。独り占めじゃない」
「なんですっ……!」
「ケンカするなら、もう教えないよ」
ミルアの怒りの言葉を遮るように、きっぱりと宣言した。
女の子たちは、はっと突かれた様な顔をそれぞれ見合せて、大人しくなった。
それを見渡してから、順番におばあちゃん直伝の「魅力的な女性の作り方」を、話して聞かせていった。
今度はみんな口を挟んだりせずに、真剣に聞き入ってくれた。
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そうこうするうちに、あっという間に日暮れを迎えていた。