大地主と大魔女の娘

 お お じ ぬ し さ ま 。


 幼い語り口調から、一瞬何の事かと思った。

 思い当たって、ドクンと鼓動が跳ね上がる。


「え……っ!?」

 そろそろと視線を持ち上げてみれば、そこには地主様の姿があった。

 いつもよりも早い時間のお迎えだ。

 思いもよらない人影に驚いたのと、キャレイの無邪気な提案に身動きが取れなかった。


「――えっと?」


 キャレイの幼い声が響いたきり、妙な沈黙がおりていた。

 抱えた女の子は自分の提案に自信たっぷりの様子で、瞳を輝かせている。

 ミルアも同じだった。

 ジェスからは、突き刺さるような視線を送られていた。



 なぜ、皆、黙り込んで様子を窺っているのだろう?


 そろそろと、微動だにしない地主様を見上げる。

 彼からも責めるような瞳で、じっと見つめ下ろされていた。


 ……お、怒られる?


 何となく、そう察して身体を強張らせて構えてしまった。


 地主様はゆっくりと歩み寄ると、しゃがんで私と目線を合わせるようにされたが、何となく気まずくて目を泳がせるしかない。


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