大地主と大魔女の娘
そろそろ片そうかとなった頃に、ジェスが顔を出した。
「ちび達! やっぱり、まだ居たのか。おまえ達のかあちゃんが心配してたぞ」
「え~! まだいいでしょ? まだクルミ、たくさん有るもの」
カールが言い張るけど、もちろんジェスは引かない。
「わ! おまえ達、頑張ったな! でも駄目だ。送っていくから、ほら!」
「え~。まだ、魔女っことおおじぬしさまと居たい!」
「居たいの!」
リュレイとキャレイもごねる。
その言葉が意外だったので驚いた。
ちなみに地主様はあまりしゃべらず、適当に相槌を打っていただけだったからだ。
「おまえ達、今日はもう帰るように。家の者に心配をかけるな。わかったな?」
二人の頭に手を置くと、地主様は言い聞かせる。
その口調は優しかったが、有無を言わせない厳しさも含んでいた。
「う、はい」
「はぁい」
しぶしぶと言った様子で頷く。
そんな二人の頭を、大きな手のひらがごしゃごしゃと撫でる。
「わたしも帰るわ。エイメ、また明日よろしくね」
「うん、また明日」
「また明日かぁ。魔女っこ、帰らないでここに居ればいいのに! そうしたら朝一番に来るから、一緒にパンを食べようよ」
「えっと、カール。あのね」
横目で地主様を窺う。
「駄目だ」
やっぱり、おなじみの答えが返って来た。