大地主と大魔女の娘
最終的には私にどうしたいかと尋ねられたので、迷い無く「森の家に地主様と帰る」と告げた事で、一応やり取りは終わった。
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ぽつんと一人、置いてきぼりにされたような気分だった。
そういえば、お祭りの打ち合わせはどうなったのだろうか?
結局は私が巫女としての心構えがあるのかどうかを、はっきりさせたかっただけのような気がする。
確かにろくに練習もしていないから、心もとなく見えるのかもしれない。
きっと成功させると約束をした。
それでも村長さんもジェスも、心配そうな顔を互いに見合わせていた。
夜も深くなってきた。
明日は早い。
ここに泊まるようにとしきりに勧めてくれる村長さんとジェスとに、暇を告げる。
せめて送ると言い張るジェスに丁寧にお礼を言ってから、それも丁重にお断りした。
地主様と二人、ゆっくりと歩いて戻る。
地主様に左手を引かれながら、ゆっくりと。
月明かりもあって、さすが祭り前の夜だと思った。
何もかもが力強く、特別な気配に支配されている。
地主様は灯かりで足元を照らしてくれながら、慎重に足を運べるようにしてくれる。
いつもみたいに、抱き上げたりせずに、私に森の中を歩かせてくれた。
道すがら、ぽつりぽつりと話しながら歩く。
「月が綺麗ですね」
「そうだな」
「森の気配も高まっていて、魔女の力になります」
「良かったな」
「はい。泊まることをお許しくださって、ありがとうございます」
「……ああ」
お礼を伝えると、ためらいがちな返事が返った。
それと一緒に、繋いだ手にぎゅっと力が込められた。
転ばないように?
私も、なるべくしっかり掴み返した。