大地主と大魔女の娘
祭りの巫女役と神様役
少し、体が重く感じるのは寝不足のせいだと思う。
それ以外に原因なんて思いつかない。
……眠れないからと、無理やり呷った果実酒くらいしか。
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村長さんの家の一室を、控え室にするようにと言われてあった。
約束通りに朝早く、ミルアが迎えに来てくれた。
地主様も一緒に付いて来た。
何ともいえない重苦しい雰囲気を引き摺ったまま、サワヤカな朝の陽射しを浴びながら、移動した。
地主様は客間へと案内され、私は別部屋へと案内される。
二人きりになると、ミルアが恐るおそる尋ねてきた。
「ど、どうかしたの昨夜?」
どうもこうも。
そう思い当たったら、また無性に怒りがこみ上げてきた。
「どうもしないわ」
ミルアは期待一杯の瞳を潤ませながら、流し目を寄こす。
とてもじゃないが信じられないと、その目は言っていた。
我ながらそう思う。
鏡の中の自分の姿を見れば、嫌でもそう思う。
目蓋がはれぼったくむくんでいる。
最低。
泣いたのが一目で丸解りだ。
それだけではない。
唇までもが異常に赤く、腫れていた。
何て事か、と思う。
「嘘よ」
「そうね。嘘だわ」
「えっ!? 何、教えてよ。地主様と何があったの」
「教えられないわ」
わざとらしく顎をそびやかして、そっぽを向いてみた。
そう。
私は今、とてもとても機嫌が悪い。